遠隔教育

~教室と家庭をロボットでつなぐ~

訪問教育で家庭にいる生徒がいます。

教室の生徒と交流したいのに、なかなか事情で行けなかったりします。

 

そこで、こんな方法で実践してみました。

教室側

①ロボット

Aoleca ネットワークカメラ

 1080P 200万画素

  5,690円 Amazon

・見守りカメラ(本来、子ども・老人・ペットの見守り、防犯用)です。家庭・コンビニ・スーパー・学校・オフィスに適用できるそうです。

・【双方向音声機能】カメラにはスピーカー/マイクが内蔵されています。スマホでカメラ側からの音声が聞こえて、カメラでスマホ側からの音声も聞こえます。

・スマホ/iPad/パソコンでカメラを遠隔操作でき、水平360度回転、垂直100度回転ができます。

・2.4G Wi-Fi対応

 (設定がやや難しいです。有線LANで一度接続して設定してから、無線LANでやるとうまくいきました。)

・100円ショップで買ってきた目玉をつけてみました。


②モバイルWi-Fi

Wi-Fi STATION HW-01L  25,272円

自分のギガライト(1GBまで2,980~7GBまで5,980円)にデータプラス(1,000円/月)。

 ①ロボットにWi-Fiが必要です。

 学校ネットワークを利用できれば一番良いです。しかし現実的に難しいです。

また教室側の教員のスマホでテザリングの方法もあります。1回で短時間ならいいです。だんだん時間や回数を増やしていきたいと考えると、毎回お願いするのも(設定もパスワード聞くのが面倒)。だったら、まずは自腹で。気持ちが楽です。家庭に出向くため自分のスマホを教室に置いていくことはできません。教室用として契約しました。でも使い勝手は良いです。


③モバイルバッテリー

Anker PowerCore Fusion 5000

    3,099円 Amazon

 

①はACアダプタがついています。はずすとUSBからでも電源がとれます。モバイルバッテリーにすればロボットを教室だけでなく、廊下や体育館、あるいは外にも連れ出すことができます。


家庭側

④パソコン

普段から視線入力をおこなうためにスタンドにつけています。

・家庭にWi-Fiがあれば使わせてもらいます。

・ネットカメラの専用アプリを使って学校の様子を映し出すことができます。

・ワンキー・マウスとスイッチを接続することで生徒が自分で専用アプリを起動し、カメラを操作したり、音声の調整をおこなったりできます。

 

※家庭の端末(スマホ・iPad・PC)に、MIPCのアプリをダウンロードし、ID・パスワードを設定してもらえれば、遠隔教育が可能です。)


実践

1 教室側(協力学級の教員、生徒)にお願いする

訪問教育に出かける前に、教室に寄って

 

「ロボットとモバイルバッテリ-をつなぐこと(自動で電源が入る)。」

「モバイルWi-Fiの電源を入れること。」

「終わったら切ること(これが心配。忘れるとデータ使用量が限界に達してしまう。)」

を授業の合間の5分休みにやってほしい。

 

以上をお願いしました。

 

下の説明書付きで、ロボットを置いていきます。

 

数回、続けていると、もう習慣になっていき、間違いも起こらなくなります。

2 接続の約束時間にネットカメラの専用アプリを起動。

家庭の生徒が、自分でワンキー・マウスで操作し、アプリを起動します。教室側が接続されていれば、画面に映像が映し出されます。

3 交流開始

教室側では家庭にいる生徒の姿を見ることはできません。しかしまるでロボットがしゃべっているようです。家庭の生徒の姿が見えないことは、逆に都合が良い面もあります。家庭側の部屋の様子をみんなに見られないこと、家庭の生徒がどの姿でいてもバレないこと、教員や家族が一緒に見ていてもわからないことです。教室側の生徒たちもスマホで家庭にいる生徒の顔が見えていると気を遣って、ずっと話しかけたりしなければなりません。しかし顔が見えないことにより『何もしなくても、ただいるだけでも良い』気楽な立場になることができます。

 

画像はきれいです。音声は多少の時差があります。音量を上げすぎると、山びこのようにディレイがかかってしまい、ハウリングを起こします。2回目の実施では、音量を下げておきました。しかし教室の声が聞こえにくかったです。そこで音量をパソコン側で上げると、またディレイがかかってしまいました。

 

それでも、会話はできました。家庭からは教室の様子がきれいに映し出され、友達や教員の様子がよく分かりました。なかなか学校に行くことができません。生徒も会話ができてうれしそうでした。

4 その後 ~習慣化~

 訪問教育、週3回で、毎回、教室と交流しています。

つなぐ時間は、本校の3・4校時の間の休み時間。

スピーカーを生徒の耳の近くに置き、パソコンのマイクと離すことによって、ハウリングも起こらなくなりました。

 

約束の時間になり、パソコンの画面上に、Webカメラがつながった通知が来ると、自分で、ワンキーマウスで操作して、専用アプリを起動します。

すると、ロボットを見て、こちらの反応を待っている友達の姿が映し出されます。 

教室の音が聞こえるようにし、こちらのマイクのオン・オフを切り替えながら会話を始めます。

何気ない「元気?」「何やってるん?」「何時に起きた?」「5時に起きた。」

「美術で写生をやってる。」「教室にあるものを描いている。」みたいな会話。

 

カメラの上下左右を操作して、見回すこともできます。角度的に見にくいときは、操作して調節します。

 

時には、体育館に行く前の教室。体育に参加できず、教室にあるベッドで休んでいる友達がいました。ちょうどいい具合に話し相手になってもらいました。

 

その感じで、改まってやるのではなく、普段の学校生活の一部として、溶け込める感じで進めています。 

5 校外学習にロボットを連れて行ってもらう。

いつも交流しているクラスが、学校から車で1時間ほどの大学キャンパスに校外学習に行きました。  

 

ロボットを持って行ってもらいました。

モバイルWi-Fiで、どこでも接続ができます。

 

訪問教育の時間が、ちょうど校外学習の昼食の時間と重なりました。

 

学内のレストランでみんなが昼食を食べている時間に、接続し、会話を楽しんだり、カメラを操作して、様子を見回すことができました。


6 学校の担任と家庭の生徒で通信

思わぬ形で使うときがやってきました。

新型コロナウイルスで臨時休業日となってしまいました。

家庭にいる生徒と、担任のいる職員室でロボットで通信をすることができました。

職員室の知っている教員と話したり、1周してみたり・・・。

課題を出して、あとでやってもらうことにしました。

その後は、EyeMoT3D「対戦塗り絵」をやりました。

 


7 他校にレンタル・・・卒業式に参加

他校からこのロボットの方法をやってみたいと問い合わせが来ました。通学できない生徒が卒業式に出られるように・・・という希望でした。

使っていなかったため貸し出しました。

 

無事使えたようで、卒業式の写真を送ってきてもらえました。(ここには載せることはできません。イメージ的にはこの使い方です。)

 

校長先生のところまで担任と行き、卒業証書をもらっている写真がありました。

 

私が想像していたのより上手な使い方です。

 

みなさんのいろいろなアイデアや希望が、何か形になるといいですね。